3月11日の地震の、次の一週間は
同じビルの1階のギャラリーを借りて営業していた。
実際に大きな余震があるとは考えていなかったけど
もし3Fでひとりで店番をしていて大きな揺れがきたら
お客様を誘導できるかどうか自信が無かったし、
どこか人の拠り所のような1階のスペースが
たまたま空いていたこともあり、一週間だけ1階に居させてもらった。
1日、ひとりかふたりのお客様が来るだけで
それでも何かの場所になっていることが良かったなあと思いつつ
その間ずっと津田貴司さんのソロの音楽『水の記憶』のCDをかけていた。
1階の間借りの最後の日に、お客様に「これは体にいい、みたいな音楽なんですか」
と聞かれて頭の中で”癒しのCD”が浮かんだのでいいえ、と答えたのです。
地震から少し時間たって、TVやラジオでは元気をだして!という
メッセージと共に、『頑張ろう!な歌』が流れ始めてそれも普通に聞いていた。
でもこの間、秋田でも震度5強の地震があってずどんと電気が消えて本当に怖くて、
今まで同じ東北で、被災地の方の気持ちを分かったつもりになっていたけど
本当は私は分かってなかったということを知った。
あ、死ぬかも知れない、と思ったから。
こんな怖い思いを抱えたまま、頑張ろうって言われたって。
その後、TVやラジオで流れる音楽はただの音にしか聞こえなくて
ただひとつ、ラジオで流れて来た古琴の演奏がとても心に響いた。
何を言いたいのかわからなくなって来たけど、
今の私にとって、その古琴の音楽が嫌に心に滲みたように
ラジオゾンデの音楽も、ラジオゾンデの2人(青木隼人のソロ・津田貴司のソロ)の音楽も
体にいい音楽だと感じる。
それが小さな店々で、また大事に作りあげられようとしているスペースで
=東北中に響くことが、私自身の大きな今の救いである。